詩編 第37編(1)
悪事を謀る者のことでいら立つな。
不正を行う者をうらやむな。
“まず、この「悪事を謀る」、「いら立つ」という言葉が対応しています。”by雨宮神父
<今日のポイント>
「いら立つな」との諭しから始まる詩編37編。
悪人に心揺さぶられる人を前に、
詩編作者はどんな道を説くのでしょうか。
今回はその第一段落を解き明かしていただきます。
実は今日の詩編はしっくりきませんでした。
詩編作者が諭す相手は、
悪事を働いて繁栄している者に苛立っている人。
その人に、
“主の道に従って歩み、救いに入ろう”と言うのですよね。
それよりは、
“ああいう人は、いつかだめになるよ。
だから私たちは、一歩一歩誠実に歩んで成功しよう”
となだめる方が、しっくりきます。
きっと怒りと妬みでいっぱいで、
神様も救いも眼中にないからです。
ただ、自分自身のことを思えば、
そうなだめられても、それだけでしっくりくるわけではなく…
本当は、そういう時こそイエス様を必要としています。
それなのに、怒りに囚われ続けたり、
別の何かを求めたり…。
この“救いに入ろう”という言葉も、
そんな暗闇の中で語られた言葉なのでしょうか。
それなら、私はただ「アーメン」と言って、
主の御元に跪きたいと思います。
旧約聖書のこころ―詩編―(再)
雨宮 慧(カトリック・東京教区司祭、上智大学神学部名誉教授)
40 詩編 第37編(1)
聴取期限1/15
(約23分)